ANAジャンボ機誕生記 & 企業専門用語

2016-08-24

社会ではさまざまな海外展開企業があり、それぞれに企業専門用語があります。

社会を見据えて英語・英会話を学んでおられる多くの学生さんに、企業専門用語とやらを知っていただければとの思いから、航空機整備士に関わる企業専門用語のほんの一部ではありますが、私が経験しましたANAジャンボ機の耐空検査を通じてご紹介させていただきますので、参考にしていただければ幸いです。

 

1982年 アメリカ・シアトルのボーイング社でANAジャンボ機耐空検査のため3ヶ月滞在

アメリカ・シアトルのボーイング社の工場では、ANA全日空が購入した機体1機毎に、航空局検査官による耐空検査(製造過程検査・地上検査・飛行検査)が行われます。

その検査の準備で、3人の検査員が整備本部から指名されシアトル・ボーイング社に出張・滞在することになりますが、私が検査員の一人として指名されB747-200型機・JA8158を担当しました。

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アメリカ・シアトルのボーイング社

アメリカ・ワシントン州はアメリカ西海岸の一番北にある州で、西海岸で有名なロサンゼルスから北に飛行機で2時間ほど行ったところにシアトルがあります。
カナダとの国境を挾み、皆さんよくご存知のバンクーバーが一番近い街になります。

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そのシアトル郊外の北に位置するエバレットという街に、想像を絶するような、さすがアメリカだと言われる巨大なボーイング社の航空機製造工場があります。

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その巨大なボーイングの工場では747-200、767、747-400、そして777が作られています。

また、シアトル郊外の南に位置するレントンという街でも、これまた巨大な工場からは(懐かしの707・727現在非生産)、今でも世界各地で使われている737、そして日本では馴染みのない757が作られています。

さらには乗員や整備士の訓練センターなどもあり、シアトルはいわゆるボーイングの街とも言えます。

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ANAジャンボ機の製造工程

機体の形に仕上げていく組立ライン上において、中心的な構造部分になるのが、中間客室構造部分・主翼が取りつく中間構造部分・主脚降着装置(メイン・ランディング・ギア)が収納される構造部分が一体になった中間胴体(センター・フューズレイジ)です。

この中間胴体が置かれている場所に、工場の天井に吊られた操縦室付きの大型クレーンが、機体の一部分とは言え、ともかくその巨大な構造部分を吊り下げ、すごいスピードで移動し運んで来ては、それらを降ろし、そして中間胴体にフィットさせ、接着と共に数多くのリベット鋲で結合していきます。

その中間胴体の前方には、2階客室(アッパー・デッキ)・前方客室・前方貨物室(フォワード・カーゴ・ルーム)が一体化した前方胴体が取り付き、さらにその前方には操縦室(コックピット)・前脚降着装置(ノーズ・ランディング・ギア)が収納される構造部分が一体になった先端胴体が取り付きます。


中間胴体の後方には、後方客室・後方貨物室(アフター・カーゴ・ルーム)が一体化した後方胴体が取付き、さらにその後方には水平尾翼(ホリゾンタル・スタビライザー)・垂直尾翼(バーティカル・スタビライザー)が一体化した構造部分の尾部胴体が取り付きます。

次に、中間胴体の左右には主翼(メイン・ウィング)が取り付き、主翼前縁(リーディング・エッジ)と後縁(トレーディング・エッジ)には高揚力装置(フラップ)が取り付き、さらには飛行制御装置(フライト・コントロール・システム)の動翼類が取り付きます。

同時に、1本の前脚降着装置(ノーズ・ランディング・ギア)と4本の主脚降着装置(メイン・ランディング・ギア)が取り付きます。そして、それらを動かすための作動装置(パワー・コントロール・ユニット)が取り付きます。


客室内では、壁・天井・ライト類・調理場(ギャレー)・トイレなどが設置されたの後に、全ての座席が取り付けられます。

そして、機体に電源(エレクトリカル・パワー)が入るようになり、全てのシステムの作動・機能試験(オペレーション・テスト&ファンクション・テスト)が行われます。

全ての作動・機能試験にパスすると、最後のラインである工場大扉のすぐ目の前まで移動して、4つのエンジンが取り付けられます。

ANA採用のエンジンはアメリカGE(ジェネラル・エレクトリック)社製ですが、他社ではアメリカP&W(プラット&ホイットニー)社製、イギリスRR(ロールス・ロイス)社製などが採用されています。

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エンジン取付け後は、目の前の大扉が開けられ、新鮮な外の空気を受けながら、牽引車(トーイング・トラクター)に引っ張られいよいよ外に出されます。

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ANAジャンボ機モヒカンルックのペイント作業

工場から出たすぐの機体はアルミ合金の地肌色ですので、機体を見てもどこの航空会社のものか分かりません。ペイント工場に入りその航空会社デザインのペイントが行われます。

ペイント作業の人たちは、頭の先から足元までのつなぎをスッポリと覆い、更にマスクを付けて、作業用の足場類がジャンボの機体胴体上半分を覆いかぶさるように天井から吊り下げられ、それら高所での大変なペイント作業が数日を掛けて行われます。

ペイントが終わると、まぶしいほどのライトが点灯され、ジャンボ機体胴体外販に染み付くように乾いていきます。

ペイント作業はトータルで一週間ほどかかりますが、当時のANAデザインであるモヒカンルックがペイントされ、工場から出てきた時には大感激でした。

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ANAジャンボ機の耐空検査について

そしてボーイング社で全てのテストを終えた航空機/JA8158をANAに引き渡す日が来た時に、ANAによる検査が行われます。

ボーイング社に出張・滞在している私たち検査員はもちろん、この検査のために派遣されるANAのパイロットと確認整備士、そして航空局の検査官が数人同行され、検査官の立会いのもと、耐空検査として「製造過程検査」「地上検査・グランドテスト」「飛行検査・フライトテスト」が行なわれます。

 

製造過程検査

「製造過程検査」とは、「製造過程に発生した構造上の損傷」に関わる書類が、発生都度ボーイング社から提供されます。

当時は、手書きの書類でしたので、アメリカ人独特の読めない文字の問い合わせに大変苦労しましたが、私たちはそれらの内容を確認のうえ、適切に処置されているかを製造過程にある実機にて確認をします。

そして、それらを報告書としてまとめた上で、航空局検査官に説明をするのが製造過程検査になります。

 

航空機整備士による地上検査・グランドテスト

ANA整備士による地上でのシステム・オペレーション・テストで、コックピットにて整備士により全てのシステム・装置が操作され、作動・性能・機能を示す計器・指示灯・警報音などによりチェック・判断され、またシステムによっては地上で監視している整備士とコンタクトを取ってそれらの動きを一つ一つチェック・判断されます。

航空局の検査官はコックピット近くに居て、オープンされたドアを介して実施状況と結果を見守ります。

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4エンジンオペレーションテスト

まずは、4つのエンジンをスタートして、アイドリングにて安定させます。

そして、一つ一つのエンジンに対して、次の項目をテストします。

パワー・レバーが一番手前で、走行路(タクシー・ウェイ)走ることが出来る、また降下(デセント)時のエンジン最低パワーとして設定されたアイドル回転かどうか。

飛行中長時間使用できる巡航推力(クルーズ・パワー)として設定された巡航回転かどうか。

アイドル回転からから離陸最大パワー(テイク・オフ・パワー)への加速時間、またすぐにアイドル回転へ戻して、詰まり現象(コンプレッサー・ストール)や燃焼停止(フレーム・アウト)無しに、スムーズに加速・減速するかどうか。

逆噴射レバーを操作することで、逆噴射装置(リバース・システム)の作動・機能と共に、機体速度を減ずるためのエンジンの逆噴射推力(リバース・パワー)として設定された逆噴射回転かどうか。

さらに、空気調整装置(エア・コンディショニング・システム)、電気系統装置(エレクトリカル・パワー・システム)、燃料供給装置(フューエル・フィード・システム)、高圧作動油装置(ハイドロリック・システム)などです。

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飛行制御装置(フライト・コントロール・システム)オペレーションテスト

そして、4つのエンジンを停止して、地上で監視している整備士とコンタクトを取りながら、次の項目一つ一つをテストします。

コントロール・コラム・ハンドルを左右に回転させ、補助動翼(エルロン)の上下の動き、主翼上面の長方形板(スポイラー・パネル)が、エルロンとの組み合わせによる立ち上がりのチェック。

コントロール・コラム・ハンドルを前にまた後ろに操作すると、水平尾翼の後縁に取り付く動翼(エレベーター)が上下に動くチェック。

コントロール・コラム・ハンドルに取りつく操作スイッチにより、水平尾翼前方が後方を支点に上下に動くチェック。

ラダー・ペダルを足で右また左に押すと、垂直尾翼の後縁に取り付く動翼(ラダー)が左右に動くチェック。

スピード・ブレーキ・レバーを引くと、主翼上面の長方形板(スポイラー・パネル)全てが立ち上がるチェック。

フラップ・レバーをそれぞれの位置にセットすると、主翼前縁に張り出す下げ翼(リーディング・エッジ・フラップ)、また主翼後縁から広い範囲にわたって張り出す2つの大きな下げ翼(トレーディング・エッジ・フラップ)がセットされた位置に動くチェックなどです。

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パイロット & 航空機整備士による飛行検査・フライトテスト

このフライト・テストは、コックピットのコーパイロット席に座るボーイング社のテスト・パイロットの支援をもとに行うものです。

キャプテン席には、もちろんANAキャプテンが実際に操縦をしながら、またコックピットで全体の指揮を執るANA整備士・コーディネーターが100近くにも及ぶ検査項目の一つ一つについて指示をし、他のANA整備士が都度計器類に現れるデータを判定して記録していくものですが、私はコーディネーターを担当しました。
航空局の検査官はコックピット近くに居て、オープンされたドアを介して実施状況と結果を見ます。

 

飛行検査・フライトテストの特徴的な部分のご紹介

1. 地上走行におけるステアリング・チェック(ck)

4発エンジンをかけ自走を開始、パイロットがステアリング・ハンドルを左右一杯に操作しながら、タクシー・ウェイを大きく右に左に大きく旋回したり、その場で一周したりするステアリングckです。

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2. パーキングブレーキのck

ランウェイの端に行き、一旦停止して機体のパーキング・ブレーキをオンにします。このフル・ブレーキング状態で、エンジンを離陸テイクオフ・パワーにセットしますが、機体が大きく揺れながら前に前に行こうとするのですが、機体はびくとも動かないことを確認して、パーキング・ブレーキck okとなります。

 

3. テイク・オフ

テイクオフ・パワーにセットしたままパーキング・ブレーキをオフにします。

機体が急激に加速され、私たちの体全体がシートに押しつけられながら、飛行機はスピードを増して行きます。機体がテイク・オフ・スピードに達すると、キャプテンが飛行上昇のためエレベーター・コラムを少し引き上げ、上昇飛行角度をセットします。

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4. ランディング・ギアのck

コー・パイロットは、操作レバーを収納側(ギア・アップ)にセットすると、ノーズ・ランディング・ギアおよびメイン・ランディング・ギア・ドアが先ず開き始め、一杯に開いた状態で、全てのランディング・ギアがたたまれながら収納され、フル・アップ状態で各ギアにロックがかかり、そして一杯に開いていた各ドアが閉じられてフル・アップの状態でロックがかれられることで、ランディング・ギアのインディケーターが、またトータルのオペレーション・タイムがokかどうかのckです。

その後エンジン・パワーが上昇推力(クライム・パワー)にセットされ、そしてフラップが少しずつフル・アップまでセットされ、巡航速度(クルーズ・スピード)まで加速されていきます。

 

5. オーバー・スピード・ワーニングのck

機体飛行姿勢を水平から少し下向きにして、エンジン・パワーをクルーズで使用出来る最大のパワーまで上げると、機体のエア・スピードが増してきてコックピットでの風切り音が激しくなり、ゴーゴーと音を立て始めたころにビー・ビーとオーバー・スピード・ワーニングが発せられますが、その時の速度が制限値内でck okとなります。

 

6. ヨウ・ダンパーのck

上空ではたまに強い突風がありますが、この突風を垂直尾翼に受けると機体の横揺れが発生しますが、その横揺れを吸収する装置ヨウ・ダンパーのckです。

方向舵(ラダー)ペダルを一杯に踏み込むと、機体が大きくヨーイング、すぐに踏み込んだペダルを離すと、すごい風切り音と共に機体が左右に振れ始めますが、ヨウ・ダンパー・スイッチをオンにすると、すぐに横揺れが小さくなり、そして水平飛行に戻ることでck okとなります。

 

7. 最大旋回角30度バンクのck

お客様を乗せたままの飛行ではめったにないことですが、クルーズ・スピードにおいて、水平飛行状態から機体姿勢を30度に傾けることで、いわゆる急旋回に入ります。

エルロンとスポイラーの動きにより、水平旋回面から外れて旋回する横滑り(サイド・スリップ)が無く、スムーズな旋回が行われることがckされます。

ともかく経験したことのない旋回角でしたので、コック・ピットのウインドウから真下に見えた地上の景色が印象的でした。

 

8. ストール・ワーニングのck

機首が水平より若干上を向いている姿勢(フレアー・アングル)で降下(デセント)している時、エンジンパワーが少なくなり機体のエアスピードが落ちると失速して垂直降下してしまいますが、その手前で、操縦桿に取り付けらたモーターがぶるぶると動くことでストール・ワーニングを発します。

その時の機体姿勢角度(トレーディング・エッジ・フラップ各角度を含む)に対する速度が、制限値内でck okとなります。

もちろん通常飛行ではありえないスピードですが、ckの間、客室通路に立つ事が出来ないくらいに機首が上を向くと共に、エアスピードも相当にゆっくりした感じですので異様な飛行感覚でした。

また、コー・パイロット席にいるボーイング社のパイロットが、常に4スロットルの手前に手を置き、いざストールに入った時にすぐパワー・レバーを上げる準備をしているのを見て、機体がストールに入ることがいかに大変な事かを察することができました。

 

9. ランディング・ギア手動操作のck

ランディング・ギア・システムを作動させる高圧作動油(ハイドロリック・オイル)がなんらかの理由で使用出来なくなると、通常操作(ノーマル・オペレーション)が出来なくなりますが、代替手段(オルタネイト・オペレーション)としてのckが行われます。

ランディング・ギアをアップにしたまま、その高圧作動油系統のスイッチをオフにして作動油をカットします。
パイロットは、全ギアの手動操作スイッチをダウン側へセットすると、直流の電気モーターを介して、ドアとギアが自重によってゆっくりと下がりダウン・ロックされるかどうかのckです。

この時は、ドアが閉じられる作動油圧がありませんので、全てのドアが開いたままにランディングすることになります。

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10. ゴー・アラウンドのck

着陸体制に入りランウェイを目の前にして、キャプテンがゴー・アラウンドと発して、ゴー・アラウンド・スイッチをオンにすると、着陸態勢にあった、エンジンパワーやフラップなどが、自動的に離陸態勢に切り替わることで、ck okとなります。すぐにパイロットは再離陸して、空港の周りを一周してきて再着陸となります。

 

11. 着陸時のオート・ブレーキングとオート・スポイラーのck

着陸前に、パイロットがオート・ブレーキング・スイッチをセットしておくことで、パイロットがブレーキ・ペダルを踏まなくても、着陸と同時に、自動的にそのセットされた強さでブレーキングされることをckします。

また着陸前に、スポイラー・レバーをオート・スポイラー位置にセットしておけば、着陸と同時に、自動的にスポイラーがアップになることもckします。

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12. その他

自動飛行制御装置(オート・パイロット・システム)や自動推力設定装置(オート・スロットル・システム)のck。
さらには、電波法に関係する全ての無線装置類のckなどが行われます。

 

飛行検査・フライトテストのまとめ

フライトテストは5時間ほどかかりましたが、100近くに及ぶ検査項目の一つ一つに合格することが、ANA全日空機として、安全において万全な航空機を提供することになります。

 

耐空検査後の機体の日本への空輸

検査合格後は、ANA現地駐在員がボーイング社とのANA機受け渡しセレモニーをして、ANAは機体を受領することになります。そして、検査に関わったパイロットと整備士が日本への空輸担当として、その機体を日本まで持って帰ります。

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シアトルを飛び上がってからはアラスカ・アンカレッジ上空、カムチャッカ半島上空を経由して日本へ、そして伊丹空港へ、途中上空から富士山が見えたときは、何かホッとした気持ちが込み上げて来ました。

そして機体JA8158は、ライン投入前の準備を実施した上で国内線として使用されていきました。

 

 

ANAジャンボ機/B747-200型機について

機体のサイズ

B747ジャンボ機の大きさですが、胴体先端から尾翼後縁までの長さが約70m、両翼端までの幅が約60m、そして垂直安定板のトップまでの高さが20mです。

ここで皆さんがよく出かけられますドーム球場とジャンボ機を比較してみたいと思います。

コックピットのある胴体先端付近をホーム・ベース上に位置させて、機体尾翼をセンター方向へ向けて置いたとすると…、なんとセンターの守備位置のところに水平・垂直尾翼が来ます。

また、セカンド・ベースの真上に主翼の付け根付近がどかっと位置して、そこから左右に広大な主翼が、レフトのファウルライン、ライトのファウルラインまで伸びて行き、ちょうど両方のファウルライン上に翼端が位置します。

高さは、ドームのトップまでとは行きませんが、客席最上段に近い高さになります。

B747ジャンボ機が、そのドーム球場のグランドに置かれいる全体像をイメージ出来れば、その巨大さが分かっていただける事でしょう。

 

機体の運用重量

B747ジャンボ機が国際線として使用する場合の最大離陸重量は、機体重量、最大搭載燃料重量、そして最大搭載可能有償重量(ペイ・ロード)として全乗客重量と最大搭載荷物重量で、トータルすると約400トンです。

高級ベンツ車が約2トンですから、200台分が空を飛ぶことになります。

その内、機体重量が約170トン、最大搭載燃料容量がドラム缶1140本分で、最大搭載燃料重量が約170トンで機体重量とほぼ同じになります。

最大搭載可能有償重量(ペイ・ロード)は約60トンで、お客様がトータル337名(Fクラス15、Cクラス62、Yクラス260)で約24トン、最大搭載荷物重量が約36トンです。

国内線として使用する場合は、最大離陸重量を277トンにして運用しています。

 

飛行機はなぜ飛ぶのか

B747ジャンボ機の最大重量400トンもの重さのものが、4エンジンの推力だけで、何故それが持ち上げられ飛ぶのか。このような単純な疑問を抱いている方も多いと思います。

巨大な機体また大重量の機体を4エンジンの推力で前に進めることで、主翼に揚力が発生し機体を持ち上げ飛ばす働きが、また尾翼は飛行中の機体姿勢を安定させようとする働きがあります。

その断面形状は下図のように、翼上面は中央から若干前方がふくらみを持った曲線になっていますが、翼下面はほとんど直線に近い線です。

その断面をイメージしたまま、エンジン推力によってその断面形状が前に進みますと、翼上面と翼下面に空気の流れが生じますが、ここで自然科学の大原則が二つ登場します。

一つは空気の性質で、前に進んでいる翼断面の前に来た空気が、一旦二つに分離し翼上面と下面に分かれて流れ進みますが、翼断面の一番後ろに来た空気は、翼断面の前にあった二つに分離する前の空気とまったく同じもので、いわゆる空気は分離しないという大原則です。

その空気は分離しないという大原則において、翼上面はふくらみを持った曲線ですから、下面の直線に近い線の距離より、空気が流れ進む距離は長くなるため、その距離が長い分上面の方が速い速度で流れ進みます。

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次に、自然科学のもう一つの大原則として、空気が物体表面上を流れ進む現象において、その物体表面に静圧力が生じ、速度が速い場合、そこに発生する静圧力は低くなり、速度が遅い場合は、静圧力は高くなるというベルヌーイの定理です。

従って、この両大原則の元に、翼上面の静圧力は低く、翼下面の静圧力は高いという圧力差が生じます。

下面の方が上面より高いわけですから、翼断面において上向きに圧力差、いわゆる揚力が生じます。

一般的に、どんなジェット飛行機であれ、離陸の際に必要な推進速度は130ノット(240~250km/h)付近で浮き上がり上昇を始めます。

大きな機体であれ、また小さな機体であれ、同じ速度で機体を持ち上げることが出来るのは、大きな機体ほど大きな翼面積を持っているため、翼面積に応じた揚力の大きさも大きくなるためです。

 

航続距離

B747ジャンボ機の巡航速度は910km/h(マッハ0.85)ですが、最大運用限界速度として980km/h(マッハ0.92)までスピードアップが出来、最大航続距離12,370kmまでフライト可能です。

成田発の国際線の最長路線としてはワシントンD.C.で、10,820kmになります。地球一周が約40,000kmですから約四分の一周になります。しかしながら巡航中の風の状況を考慮して、ワシントン線が最大航続距離になります。

国内線では航続距離を3,800kmとしていますが、東京-沖縄が1,570kmで、日本の国内線ではいつも余裕のフライトをいています。